観戦記

投稿者

Kia Kaha

2013年10月13日 14:00KO 近鉄花園Ⅱ レフリー
関西学院大学 VS 関西大学 天気
グラウンド状態
前半 後半 得点 前半 後半 観客
3 5 T 0 1 投稿者が選んだマンオブザマッチ
2 5 G 0 0 チーム名
0 0 PG 0 0
0 0 DG 0 0 選手名
19 35 0 5
54 合計 5

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「観戦記『この1勝にFOCUSを当てて』」

【提供】
 関西学院大学体育会ラグビー部公式サイト
 『WEB MAGAZINE 朱紺番』
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 苦杯をなめたリーグ開幕戦から2週間。彼らは再度、自分たちを見つめ直した。そうして挑んだ第2戦、掴んだ初勝利で見せた畑中組の真の姿。

 赤鬼が、ほえた。

 「ディフェンス! これで満足しちゃダメね!

 オフェンス! ミス、ノックオンが無ければ、こんな点じゃない!」

 これからの後半40分にむけ、ピッチへ繰り出す23人の輪になかでアンドリュー・マコーミックHCが、げきを飛ばす。

 「いきましょう!!」

 指揮官に鼓舞された選手たちは高らかに声を上げ、グラウンドへ向かった。

 10月13日、関西大学Aリーグ第2戦。ハーフタイムにおけるチームトークの場で、畑中組は熱を帯びていた。それでも―

 前半を終え、スコアは19-0とリードしている。それでも「まだセーフティ(=安全圏)ちゃうからな!」とチームに寄り添う山内健士郎(教4)が語りかける。「ここからね。0-0で」とCTB 鳥飼誠(人福2)が引き締める。こうも冷静にあろうとした理由。意識下には、きっとあったことだろう。後半開始早々の“魔の時間帯”がもたらした、あの苦い記憶が。

 しかし、そうではなかった。彼らは、ただひたすらに、この試合で勝利することだけを見つめ、闘志を燃やしていたのだ。
 2週間前、9月29日のリーグ開幕戦にて畑中組は黒星を喫した。

 京産大を相手に前半2トライを奪ったものの、どこか掴めない流れ。それもそのはず、セットプレーを含め、パスワークも乱れるなど、ミスを連発していた。前半で相手の京産大に許した失点がPGの2本だったことからも数字上で伺える。

 むかえた後半。京産大FBの動きに翻弄されるなどして、防御網を打ち破られる。ものの10分ほどの間に2本のトライを取られ、逆転を許してしまう。「ディフェンスで人数を余られたシチュエーションは無かったけど…一瞬の隙をつかれた」とCTB水野俊輝(人福3)は唇を噛みしめた。

 転じて攻撃では、こちらが人数で優位になる場面もあったが、そこでパスミスを犯し結局はターンオーバーを許すことの繰り返し。ブレイクダウンでも、相手のプレッシャーをはね返すことが出来ず、終始劣勢のまま時計の針は過ぎていった。結果、19-30という完敗。まるで、そのフィールドに朱紺のジャージなど無かったかのような錯覚をも覚えさせる敗戦であった。

 開幕戦を落としたという、覆らない事実。そこでは自分たちのラグビーを微塵も見せることが出来なかった。猛省と危機感を抱いたリーダーたちは、試合後すぐに意見を交じ合わせた。主将・畑中啓吾(商4)は振り返る。

 「すぐに話し合って、月曜日には試合に出た23人を集めてミーティングを。負けは負けなんで、引きずってても仕方がないと。切り替えることを早めにしました」

 浮き出た課題に正面から向き合い、修正を施す。当然のことではあるが、戦いの本番が始まった以上、他に手立てはない。

 京産大戦、グラウンドレベルでいえば、チームとして『なすべきこと』を皆が共有できていなかった。「チームとして、どうするかを統一できず、迷う場面があった」とはSH徳田健太(商2)の分析だ。

 現に、試合に臨むにあたり「関学らしい試合が出来なくなったときは、自分たちの強みであるディフェンスに返ろう」と主将はメンバーに説いていた。しかし、漠然としていたが故に混乱を招くことに。「ディフェンスなら、いくら選手が固くなって発揮できると。固くならないのが一番ですけど」と話していた主将の想定が悪しくも現実となったのだ。それは、オフェンスでも同じだった。

 そして、もう一つはチームとして戦いに挑む姿勢そのものに盲点があった。主将は語る。「京産大だけを見れてなかった。もちろん日本一という目標は持っておかないとだめですけど…目先の相手を見れてなかった」

 目の前にある一つの勝利を重ねていく先に、目指す頂がある。いよいよリーグ戦が幕を開けたことへの高揚感が、いっそうにチームを浮き足立たせ、その普遍の定理を隅に追いやってしまったのだった。

 畑中組として、前に進むために余儀なくされた再スタート。ここでチームを後押しするシチュエーションが待ち構えていた。次の試合までの期間は2週間。そのなかで設けられた全てのカテゴリーの対外試合の相手が関大だったのである。つまりはトップチームがリーグ第2戦で戦う相手。再出発のキーワードは決まった。『全員で関大に勝ちにいこう』と。

 そうして中の週で行なわれたDチームの勝利(50-7)を発端に、コルツ(57-17)、ジュニアチーム(52-17)と快勝を収めていく。あとはAチームが関大からリーグ初勝利をもぎ取るのみ。まさにチーム一丸となり、聖地・花園ラグビー場へと乗り込んだ。
 試合開始を1時間後に控え、アップに励む選手たち。その様子を見ながら、野中孝介監督は口にした。

 「やることをやる。一戦一戦、目の前のゲームを勝つだけだよ」

 ホイッスルが鳴り響き、試合開始が告げられる。さっそく得点のチャンスを掴んだのは、関大だった。関学の反則を受け、PGを選択する。が、ボールはポストを外れた。

 互いにミスは目立っていた。ゆえの均衡、決め手に欠く立ち上がり。しかし朱紺のジャージは次第に、本来の動きを取り戻していく。それは前節では見られなかった、ゲーム内での整頓作業。

 「焦らず、しっかりと敵陣に入って。ディフェンスも修正できていて…みんな早くセットして整備できていました」(畑中)

 自分たちのスタイルをいま一度フィールドで発揮する。ディフェンスからゲームを作っていくことを。加えてセットプレーで優位に立てたことも、流れを引き寄せた。前半8分、相手スクラムでボールを奪取することに成功。相手ゴール前でのラインアウトからSH徳田が先制トライを挙げた。

 FWを中心にリードを奪った前半。けれどもマコーミックHCがメンバーに喝を入れたように、決して納得のいくスコアではなかった。徳田は話す。「もっとトライを取れるところもあった。そこは精度高めていかないと」

 ただ、試合を通じて、自分たちのラグビーを遂行できつつあったのも事実。だからこそ、ハーフタイムでチームは再度、冷静に確認しあったのだ。いま倒そうとしている相手は関大、そして、勝つ為に自分たちは何をすべきか、を。

 この2週間、リスタートを切ったチームは対戦する関大だけを捉え、準備を重ねた。ビデオで対策を練り、相手の持ち味である部分に心した。対して、フィールドで繰り出すラグビーを明確にした。「早い段階から意識統一した」と徳田は振り返る。

 残された40分間。開始のキックオフで畑中がボールを外に蹴り出してしまうミスを犯し、果てはトライを許すなど嫌な立ち上がりとなった。それでも、この日のチームは冷静さを失うことは無かった。それは意識統一の賜物だろう。そうして、ボールを持つ時間帯が増えていくにつれ、しっかりと準備してきたことを形にしていく。

 オフェンスでは、フェイズを重ね前進を図る。ポジション問わず全員が走り、ピッチの横幅を最大限に使ってボールをつなぐ。前半はポロポロと見られた手痛いミスも影を潜め、そうなれば必然として相手ゴールを陥れることにつながる。後半40分間でコンスタントに5本のトライを積み重ね、やがてノーサイド。最終スコアは54-5の完勝だった。
 こうして掴んだリーグ戦初勝利。主将は安堵の表情を浮かべた。

 「ミス無く、しっかりとしたプレーをすれば、良いゲームが出来る。あらためて実感しました。準備してきたことが、今日は出せて良かったと思います」

 チームとしても、自分たちのラグビーを発揮したうえで白星という結果を生んだことは、自信にもつながっただろう。継続してフェイズを重ねればトライに結びつくこと、早くセットすればディフェンスから前に上がれること。

 むろん反省点はある。ミスやペナルティで自らチャンスを潰す場面はこの試合でも幾度とあった。「立ち上がり悪かったですしね…。挙げたら、きりがない。そこは認めて、修正して」と主将は省みた。

 だが、何よりも畑中組が最も大事なことに気付いたのが関大戦での収穫だ。それは、準備の大切さ。相手を見据え、気構えを整え、試合に臨む。目先の1勝に狙いを定め、自分たちのプレーを発揮するべく意識を一つにすること。

 なんてことはない、今年の関学ラグビー部・畑中組のスローガンそのものであったのだ。

 リーグ開幕戦にて味わった挫折と、そこから転じて導き出した解。

 一戦必勝。これこそが、『FOCUS』を掲げた畑中組のラグビーの真髄だったわけである。

 試合後に主将は述べた。「未来にむかって出来ることは準備しかないんで。良い準備をして、次に臨んでいきたいですね!」

 この先も戦いは続く。次なる相手に照準を合わせ、そこでも我らのラグビーを見せるとしよう。■(記事=朱紺番 坂口功将<広報担当>)


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